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【前編|レポート】申込数230名!/キャリアブレイクが働く人や企業にもたらすもの

2025年04月07日

【前編|レポート】申込数230名!/キャリアブレイクが働く人や企業にもたらすもの

こんにちは。キャリアブレイク研究所のあさです。


3月18日、人事領域の情報提供・研究を行う「労務行政研究所」が主催するセミナーに、代表の北野が登壇しました! 今回はそのセミナーの様子を、【前編】【後編】に分けてレポートします。
とっても興味深い内容でしたので、是非みなさんにシェアさせてください!

▶【後編】はこちら


企業の関心が高まるキャリアブレイク

セミナーの参加者層
今回のセミナーには、なんと約230名の企業関係者が参加。参加者の多くが人事部門のご担当者で、約40%が役員・管理職クラスとのこと。 キャリアブレイクに対する企業の関心の高まりを、改めて実感しました。

3名の専門家による多角的なアプローチ
セミナーでは、3人の登壇者がそれぞれ異なる視点から「キャリアブレイク」について語りました。
石山恒貴先生(法政大学大学院) └ 雇用システムや社会背景の観点から分析
片岡亜紀子先生(早稲田大学) └ ご自身の体験をもとに研究と考察
北野貴大(キャリアブレイク研究所 代表理事) └ キャリアブレイクの社会実装に向けた提言

キャリアブレイクとは?
キャリアブレイクは「離職・休職などを通じて一時的に雇用から離れ、人生と社会を見つめ直す期間」のことを指します。造語ではなく、欧州では一般的な文化で、旅、留学、自主的な挑戦、勉強やトレーニング、休養、療養、出産、子育て、家族のケアなど、過ごし方は様々です。 (キャリアブレイク研究所ポータルサイトより)

そもそも「キャリア」って何?
これまで「キャリア」といえば、いわゆる“仕事”を指す「ワークキャリア」が中心でした。しかし、近年では**「キャリア=ライフキャリア」**という捉え方が広まりつつあります。
つまり、ワークキャリアはライフキャリアの一部でしかなく、人生全体を見渡したキャリア感が求められているのです。 こうした考え方の広がりとともに、「キャリアブレイク」も単なる“仕事の中断”ではなく、人生を見つめ直すための豊かな時間として再評価されつつあります。

キャリアブレイクの定義も変化
以前は日本で「キャリアブレイク」といえば、“空白”や“ブランク”としてネガティブに捉えられることが多くありました。しかし2016年頃から、「空白期間の経験にも価値がある」とする見方が広がりはじめ、今では、「キャリアを一度手放すこと」そのものに意味があると考えられるようになってきています。
2016年:空白期間の経験が「役に立った」と認識されたときに価値がある
└ 空白でもマイナスではない可能性がある
2024年:中心にしてきたキャリアを手放すことそのものに価値がある
└ 手放すことで、新しい可能性が開ける
このように、「キャリアブレイク」は”ただの空白”から”価値ある時間”へと進化してきたのです。


従来の日本的雇用の問題点

高度経済成長を支えた雇用慣行が足かせに⁈
法政大学大学院の石山先生は、日本独特の雇用慣行「3点セット」が、今もなお働く人々を縛っていると指摘しています。かつてはこの3点セットが高度経済成長を支えましたが、現代ではその歪みが課題となっているそうです。

日本的雇用の3点セットとは?
1. 無限定総合職
└ 職種・勤務地・労働時間に制限がない
2. 標準労働者
└ 新卒一括採用・終身雇用・年功序列
3. マッチョイズム
└ 性別役割分業に基づく“仕事最優先”の価値観
これらは今でも、出世や昇進を目指す人にとっての“暗黙の前提”となり、私生活との両立や柔軟な働き方を難しくしている要因となっています。 こうした問題は、後編でご紹介する「キャリアブレイクの必要性」にも深く関わっています。


キャリアブレイクの研究

立ち止まることで得られる変化
早稲田大学の片岡先生は、ご自身のキャリアブレイク体験を元に、キャリアブレイクがもたらす変化の力について研究されています

使用された論理
考察には以下の2つの理論が用いられており、キャリアブレイクの効果や意義を考えるうえで、非常に参考になる内容となっています。
【理論1】 ウィリアム・ブリッジズの「トランジション理論」
① 終わり:終わったと受け止める
② ニュートラルゾーン:立ち止まる
③ 始まり:葛藤を感じながら何かが始まる
【理論2】杉浦健氏の「転機のプロセス分析」
① 転機の始まり:変わりたいと思うことで、転機が始まる
② 空白の期間: 絶望や安堵をくり返し、方向性を見出す
③ 変わる瞬間: 行動・経験を通して自己認識が変わる
これらの理論からは、変化や転機には「何かを終わらせること」や「葛藤を経ること」が必要であり、そのためには“空白”――すなわち「立ち止まる時間」が不可欠なのだと、私は受け取りました。

キャリアブレイクの変化プロセス
このような理論に基づき、片岡先生ご自身はキャリアブレイクが生み出す変化のプロセスを以下のように整理しました。
1. 立ち止まる: 立ち止まり、自分を見つめなおす
2. 内省・受容・自己の棚卸し: 自分の価値観や感情を整理する
3. 行動する: 「何かやってみよう」の気持ちが生まれる
4. 交流・自己の高まり: └行動を通じて視野が広がり、変化が起こる

キャリアブレイク経験者の自己認識の変化
実際にキャリアブレイクを経験した方からは、こんな声が上がっています。
・自分を社会的存在として再認識する場になった
・働いていない期間は、あらゆる経験ができる期間だった
こうした声や片岡先生ご自身の経験は、キャリアブレイクにおける「空白という豊かさ」や「手放すという豊かさ」といった、新たな価値観を示唆しています。
また、先生は20代正社員の意識調査や採用支援に携わる中でキャリアブレイクの企業導入について、以下のような言及もしています。

「若い世代ほど、ライフキャリアを大切にしていることを強く感じた。 キャリアブレイクが福利厚生の一環として位置づけられることで、若い世代にとって魅力的な制度となり、企業のアピールポイントになり得る可能性がある。」

こうした実践と調査を通して見えてきたのは、キャリアブレイクが“個人の再出発”だけでなく、“組織にとっての魅力”にもつながるという、新たな価値の広がりです。
前編では、キャリアブレイクに内在する豊かさと、制度としての可能性について触れてきました。 後編では、キャリアブレイクの効果や価値を掘り下げながら、キャリアブレイクを社会に実装していくためのヒントを探っていきます。

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前編の感想
片岡先生の研究と体験談には、とても共感・納得できる点が多くありました。このセミナーを受けた時に、私はキャリアブレイクを経験した2人の妹の姿を思い出しました。
一人はご主人の転勤によるもの、もう一人は病気による離職でした。 予期せぬキャリアブレイクでしたが、今では二人ともまったく新しい素敵なキャリアを歩んでいます。そして本人たちも、私も、それが確かな「転機」だったと実感しています。
何より印象的なのは、二人とも転機をとてもポジティブに捉えていること。
もしかしたら、彼女たちの「空白という豊かさ」を見ていたからこそ、私自身もキャリアブレイクを選択できたのかもしれない…そんな気づきがありました。
これからも、キャリアブレイクの可能性について、一緒に考えていきましょう。

キャリアブレイク研究所 あさ

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