Career Break Journal

人生を豊かにする手段としての「複業」ーーコラボは告知から1週間で50名満席、共鳴した理由は

人生を豊かにする手段としての「複業」ーーコラボは告知から1週間で50名満席、共鳴した理由は

告知から一週間で、申込は50名に達した。


一般社団法人キャリアブレイク研究所が運営するコミュニティ「むしょく大学」と個人の複業挑戦を支援するスクール「複業アカデミー」の共催セミナー。企画したのは自分史ワークから複業を見つけていくという複業アカデミーを体感できるミニワークだった。

なぜ、キャリアブレイク中の人たちは、複業という働き方に反応したのか。複業アカデミー校長・若色広大さんに話を聞いた。

そもそも「複業」とは何か

複業アカデミーが使う「複業」は、「副業」とは違う字だ。

本業がありつつサブ的な意味合いの「副」ではなく、マルチタスクの「複」。すべての仕事を本業として捉え、優劣をつけない働き方——空いた時間にちょっとやる副収入ではなく、複数の仕事を同時並行で進めながら、それぞれにきちんと結果を出す。それが若色さんが言う「複業」の定義だ。

アルバイトの掛け持ちに近いイメージかもしれません。夜の空き時間に副業をしよう、ではなく、生活の中でこの仕事を同時並行的に進めていく。ちゃんと結果にコミットしていくことが、僕は仕事だと思っているので。

では、同じく個人で稼ぐ働き方であるフリーランスと、複業はどう違うのか。数年前、フリーランスとして自由に働くことがブームになった。ただ、その波は長くは続かなかった。

フリーランスで失敗して、会社員に戻るという回帰が今起きている現象があると思うんですよね。

原因は、仕事の取り方を知らないまま「副業的感覚」で走り出してしまうことにある、と若色さんは見る。

クラウドソーシングサービスに100件応募して1件取れて、1ヶ月で終わる。それを繰り返すので続かないんです。だったら会社員の方が楽だったかもしれない、と諦めていく。

複業では、そもそもの向き合い方が違う。

全て本業なので、契約してくれた方とは常々交流していかないといけないし、次に何を求めているかを自分からヒアリングする。仕事が終わったら次に何をすべきかを自分で考えていくのが仕事だと思うんです。

「待ちの姿勢の人が多すぎた」と若色さんは振り返る。攻めの姿勢に変わり、やるべきことを明確にスケジュール化して進めていけば、5年間仕事が途切れず続いているケースも珍しくないという。


フリーランスは主従関係で言えば「従」になりやすい。契約書をもらい、クライアントの期待に応えていく——クライアントありきの発想になりがちだ。一方、複業アカデミーが掲げる複業は、安定した複数のクライアントを攻めの姿勢で育てていく。対等な関係性の中で、自分自身のスタイルを作っていく働き方だ。

だからこそ若色さんは、複業を「人生を豊かにする手段」と言い切る。

複業は、人生を豊かにする手段だ

若色さんが繰り返し語るのは、複業を単なる収入源としてではなく、「人生を豊かにする手段」として捉える思想だ。

僕はもう、複業を人生を豊かにする手段だと思ってるんですよ。自分自身もそうなんですけど、複業の関わり方で会社を支援しているので。朝10時からしか打ち合わせを入れない、6時以降は入れない、というルールを自分で決めています。誰かに言われたことをやるんじゃなくて、やることを自分で決めて動くので、ストレスがないんですよね。

会社そのものを自分で選べること、働く時間や契約条件を自分から提示できること——「働き方の中で、結構自分が主語なんですよ。これがまさに複業の中で一番強いポイントかなと思います。」

この思想を裏づける事例として、若色さんが挙げたのが、青森に住む看護師の女性のケースだ。子ども3人を育てながら、看護師以外の仕事をしたことがなかった彼女に、若色さんは「オンライン秘書に向いているのでは」と提案した。

過去の成功体験や挫折、私生活での大きな転機(出産、育児、趣味への没頭など)を「自分史」をひもとくと、細かい作業が得意な看護師としての適性が、そのまま活きる仕事だったのだ。入校からおよそ1年で、オンライン秘書の仕事を2社から受注し、年間120万円の収入を得るまでになった。今では複業アカデミー自体の秘書業務も担っている。

子ども3人を見ながらこの仕事ができているので、彼女もすごく感謝してくれています。

結果——申込1週間で50名、その先の入会9名

若色さんの言う「複業」はキャリアブレイク中の人たちにとっても、選択肢の1つとして知っておいてほしいと感じ、共催セミナーを開くことになった。すると、告知から1週間で申込50名。「ここ最近では一番早いペースで申し込みが集まった」と若色さんは振り返る。そこから個別面談に進んだのが13名、うち9名が複業アカデミーへの入会を決めた。

営業活動をして入ってもらうのは簡単だと思うんですが、自分で決めて入らないと、1年間という時間を本気で過ごさない。今回、皆さんがご自身で決めてくださったのは、すごく嬉しかったです。

共催セミナーは、自分史ワークという企画を軸に組み立てられた。その背景には、若色さん自身の経験がある。

「何者でもない」と感じた、二ヶ月間

新卒で入社したコカ・コーラからパソナへ転職した直後、結果を出していたコカ・コーラ時代とは違い、営業がまったくうまくいかなかった時期があった。「お前は何しに来たんだ」と怒鳴られる日々が、2ヶ月ほど続いたという。

そのまま逃げていいのかと自問自答しました。いろいろ挫折した時期です。自分が何を提供できるんだろうと思った時に、何も思い浮かばなかったんです。コカ・コーラで結果を出したから何かできるかというと、そうでもなくて。何者でもないな、と思った経験がありました。

だからこそ、若色さんは考えた。自分を振り返って、ヒントを探した。その時に自分を振り返った経験が、立ち止まって人生と社会を見つめ直す「キャリアブレイク」という文化そのものだったようだ。結果的に、パソナでもうまくいくようになったそのキャリアブレイク的な経験が、自分史ワークから複業を見つけていく原体験になっている。だからこそ、同じように「何者でもない」と感じたことがある人に刺さるのではないか、と。

持ち直した若色さんには、仕事の依頼がくるようになった。そのときに「あ、なるほど、結局仕事って人なんだ」というふうに思ったという。そこから「複業」のような働き方になっていった結果、同じように働きたいという問い合わせが増えていき「複業アカデミー」の開校につながっていく。

コラボレーションの中身——自分史ワーク

むしょく大学とのセミナーで実施したのは、単なる複業アカデミーの紹介ではなく、「体感してもらう」ことを主眼に置いた自分史ワークだった。

参加者にはまず、人生の中で転機になったエピソードを3つ挙げてもらう。それぞれ「何歳の出来事か」「なぜそのエピソードを選んだのか」「そこで得られた経験は何か」を事前課題として書いてきてもらい、当日は各ルームに分かれて口頭で共有する。複業アカデミーの講師陣がすべての部屋に入り、ヒアリングをしながら、「その経験がなぜ複業の仕事につながるのか」を一人ひとりに言語化して返していった。

単純にアカデミーとは何かを話しても誰も面白くない。体感してもらう方が早いと思って、先生たちを全員集めました。

この設計もまた、若色さん自身の原体験——何者でもないと感じた経験を持つ人にこそ響くはずだという確信から生まれている。

見えてきた可能性

このコラボレーションをきっかけに、複業アカデミーの広がりは加速している。イベント開催時点で三十代後半だった会員数は、現在65名までに増えた。X(旧Twitter)やLinkedInを通じた問い合わせも継続的に届いているという。

反響はキャリアブレイク層にとどまらない。コラボレーションのプレスリリースを見たプロバスケットボールチーム・東京ユナイテッドの監督から依頼を受け、選手向けに同様のワークを実施。さらにそのPRを見た上場企業の役員からも、選手のセカンドキャリア支援について相談が持ちかけられた。7月には神奈川県庁からの依頼で、製造業向けに業務委託・複業人材の活用法をテーマにしたオンライン登壇も予定している。

僕自身が、複業アカデミーを通していろんな出会いをいただいて、いい形でいろんなことをやらせてもらっている感覚があります。

キャリアブレイク研究所、そのコミュニティである「むしょく大学」は、複業アカデミーのような、プログラムやサービスとの連携によって支えられている。「うちの学び・サービスと、キャリアブレイク中の人たちとの相性はどうだろう」——そう感じた事業者の方は、ぜひ一度お声がけいただきたい。

2026年07月15日

PARTNER

複業アカデミー

複業アカデミー

若色 広大

Color With株式会社 代表/複業アカデミー校長。新卒でコカ・コーラボトラーズジャパン株式会社へ入社。その後、株式会社パソナ(現:株式会社パソナJOB HUB )へ転職。2022年、共同代表の高橋と共にColor WiThを創業し、優秀な業務委託の即戦力人材と共にチーム併走する「複業職人」事業を立ち上げ、業務委託100社以上の経験やノウハウを活かし「複業アカデミー」事業を立ち上げる。

WRITER

北野 貴大

北野 貴大

代表理事 / 一般社団法人キャリアブレイク研究所

2014年にJR西日本グループに新卒で入社し、都市開発に従事。妻のキャリアブレイクをきっかけに、キャリアブレイク中の人のための宿「OKAYU HOTEL」を2021年にスタート(現在は奈良で運営中)。退職後、一般社団法人キャリアブレイク研究所を理事2人と共に2022年に設立。2023年より、大阪公立大学大学院経営学研究科付属イノベーティブシティ大阪ラボ特別研究員。

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